『扉を開く』
毎朝、ひなぎく幼稚園の子ども達は玄関から登園します。その時、子ども達は玄関の扉を「開けたら閉める」を心がけます。声をかけていくうちに、年少さんも扉を自分で開け閉めして入ってくるようになりました。ところが、お家の玄関と違うところはたくさんの人がこの扉を通る時があることです。その際、自分が通った後に人がやってきた時どうするか、とっさの判断を迫られます。「いいよ」と言って何人も通してあげる人、次の人にさりげなくお願いする人、小さな生活の一コマからも、子ども達は状況判断し、コミュニケーション力をつけてきました。
そして今、卒園、進級という全員が次のステップに進む節目の時を迎えています。そんなある日のこと、「こーんなにきれいになった!」「みてみて、ぴかぴかだよ」、園庭からは砂場の玩具を洗う年少、年中組の子ども達の声が聞こえてきました。たらいの水のざぶざぶいう音、おもちゃの汚れをスポンジでこする音、そして顔を見合わせては笑い合う声には、一年前の大騒ぎがうそのような穏やかさがあります。同じ頃、2階では年長組が総動員で積み木や組み木、おもちゃを運んでホールを念入りに片付けていました。このホールは2日後には卒園式の会場になります。会場の準備もできるところは子ども達と一緒に、そんな担任達の思いが伝わり、いつにもまして張り切った片付けの時間となりました。
3月といえば「旅立ち」「別れ」という言葉が浮かび、大人は感傷的にもなりますが、だからこそ、子どもには落ち着いた生活を送らせたいのです。幼児は直接体験から学びます。卒園してみて初めて、卒園するってこういう事なんだと理解するのです。進級も同じです。大人が先回りしても何にもなりません。子ども自身が必ず自分で扉を開きます。
神様が一人一人に成長する力を下さっていることを特に強く感じる3月です。感謝と喜びを持って過ごしましょう。
わたしは植え、アポロは水を注いだ
しかし、成長させて下さるのは神です。
(聖書 コリントの信徒への手紙Ⅰ 3章6節)