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ひなぎくの保育 ~小さな祈り~

 ひなぎく幼稚園のお泊まり保育は、慣れ親しんだ幼稚園にお泊まりをするということを大切に考えた行事です。毎年、先生たちは「この子たちにとって、どんな経験をするのが一番いいかしら?」と4月から、いえ、彼らが入園した時から考え続けています。いま、目の前にいる年長組の子どもたち。その一人一人をよく見つめながら、その年の《お泊まり保育》の目当てや流れを決めていきます。

 子どもたちは年長組になったらお泊まりする!ということは、これまでの経験で知ってはいますが、まさか自分たちがいよいよ泊まることになるとは…と、半信半疑に思う人や不安に思う人もいますね。そんな子どもたちの気持ちを、先生たちはおもんばかりながら、楽しく、そして勇気をもって彼らが《お泊まり保育》をやりとげることができるように心をくだいて支えていきます。

 童話『もりのへなそうる』を隠し味としてお泊まりのテーマにしたり、前日には全員で床の雑巾がけをしたり。お泊まり保育の二日間だけがお泊まりではなく、その前後の数週間こそが、本当のお泊まり保育!という考えで保育にあたっていきます。
 「ねえ、先生!床がぴかぴか!きれいでしょう?気持ちいい?」と、裸足で雑巾がけをしていた人が話しかけてきました。「どうしてお掃除しているの?」と尋ねると、びっくりしたように、そしてきっぱりと「だって明日お泊まりだよ!ここで寝るんだもん!楽しみ!」と、またさっさと雑巾がけに戻っていきました。その人は、じつはお泊まり保育のこと、心配で、あんまり乗り気ではなかったと聞いていました。ところが、布団を敷くからきれいに掃除をしようという先生の言葉を受けて雑巾がけをしているうちに、自分の気持ちも段々と準備ができてきて、お泊まり保育を楽しみにするぴかぴかな気持ちに変わっていったのかもしれません。

 ひとりひとりに寄り添う保育。先生たちの目配り、心配りが活かされた保育が今学期の保育を振り返ると見えてきます。

(加藤早恵 記)