ある日の朝、子どもたちが大きいシャベルで砂を掘ろうとすると、「わっ!かたい…」「砂の中がかたまってるよ~」「あっ、だって霜あったもん!」「私も見た~幼稚園に歩いてくる時、畑が霜だらけだった~!」そんなやりとりが聞こえてきました。そして、はりきってフリースをまくり、シャベルの縁に足をかけ、力をこめて動かし始めました。まさに寒さに負けない、寒さを楽しむ子どもたちです。
今が一番寒い時期ですが、自然の不思議さに気づき、興味をもったり、美しいと感じたり、そういう心の「感覚」を大切に過ごしたいと思います。この「感覚」は教えて身につくものではありませんね。幼児の場合、遊びの中から一人一人が気づいて、感じて様々な「感覚」を身につけていきます。幼児期の心と体の成長のもとはたくさん遊ぶこと!ですね。ゆっくりと仲間と一緒に遊びたいと思います。
さて年長組は6月から大工活動を始めています。
ほとんどの子どもたちが未経験でしたが、多くの子どもたちが「やってみたい!」と思い、とりくむ日々です。
作りたいものをイメージして、たくさんの木材から使いたいものを選んでいく作業から始まります。平面ではなく、立体をイメージする―とても高度な“想像力”と“創造力”ですね。そして釘を打つ時は、相当な集中力がないと手を打ってしまいます。のこぎりで木を切ったり、いくつも釘を打ちつけたり、仕上げるまでには根気も必要です。
この大工活動、個々のとりくみでもありますが、上手な友だちを見て、いいアイディアを参考にしたり、打ち方で迷ったら「ねえねえ、ここさぁ…」と相談したり、木をおさえてもらって釘を打ったり…考えを伝え合ったり、声をかけたりかけられたり、そういう日々のとりくみの中で友だちとの距離の「感覚」(コミュニケーション力)を身につけていくのです。それから、釘を打ちながら、これ以上打つと自分の手が危ないとか、友だちがのこぎりやかなづちを使っている時は気をつけるなど、自分の身を守る「感覚」も自然とついていきます。
3学期の今、くぎ抜きの使い方も覚えています。「てこの原理」です!すごいですね。これだけの様々な「感覚」を身につけられるのは、子どもたちが「やってみたい!」と思ったことで、友だちと一緒で楽しいからこそですね。
この友だちとの距離の「感覚」や、身を守る「感覚」は年少や年中時代から、積み重ねていくことが大切です。
お店屋さんごっこや病院ごっこ。最近の年中組ではお楽しみ会の後から人形劇ごっこを楽しむクラスも!友だちとのやりとりがないと成り立ちませんね。大好きなおにっごでは他の所で遊んでいる人たちをかわしながら逃げたり、おににつかまらないように、自分の体を右に左にとひるがえして走っています。年少組さんも、ずいぶんと足腰が強くなったなあと、実感しています。転ぶことが少なくなりましたね。又、年少組が楽しんでいる空き箱製作。今はまだ「何を作ったの??」ということもありますが、立体のイメージの始まりです!
年中組がさかんにとりくんでいる、毛糸を使っての指編みのマフラー作り。なかなか難しいです。でも「やってみたい!」から、挑戦しています。指一本一本を器用に使えるようになってくる発達段階の“今”ならではの遊びです。この手先の経験が、やがて釘打ちや年長の編み物(ポシェット作り)につながっていくのです!
学年末ではありますが、最後の日々に思いをよせてしんみり…というのは大人の感覚ですね。
それよりも、たくさん遊び、友だちと笑い合い、喜び合いたいのが子どもの感覚です!
最終日まで丁寧に毎日を積み重ねていきたいと思います。